いけばな
いけばなとは
いけばなは、切り取った花をなにかの器に水を入れ、部屋(室内)で生かすこと。ここでいう、「花を生かす」とは、素材として扱う花材が、本来持っている形、色、質感、また季節感などを生かすことです。
いけばなの起源
仏様の両脇に飾られた花、供花(くげ)だといわれています。
いけばなの用具
花ばさみなどの草木を切る用具、剣山などの草木を留める道具、花器などの飾るための道具、その他、必要に応じて小石や、針金なども使います。
花をいけるってどういうこと?
花をいけるという言葉の中には、切り取った花の姿や形を、「生かして」飾るという、いたわりの心があります。
例えば、池坊のいけばなには花を生かすために、立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花(じゆうか)という大きく分けて三つの様式があります。これらの様式は、生かす目的、飾る環境、いけようと思った花の姿に、どの形がもっともふさわしいかによって、考えていきます。これらの様式において、いずれも奇数の花材を用いていけるのが原則です。
正面から見ることの多いいけばなですが、実際は前後、左右に枝が伸び、全体を作っています。つまり、いけばなとは、平面に絵を書くのではなく、立体という空間を生かすものなのです。
また、花を生ける際、大切にすることの一つに、「陰陽のバランス」があります。例えば、草木は、必ず、お日様の光に向かって育ってゆきます。光を浴びたほうが表、反対側は裏となり、よく見ると色も違っています。いけばなでは、光のあたるほうを陽(表)、あたらないほうを陰(裏)といいます。草木の表と裏を生かし、さらに全体としての表と裏、陰陽のバランスをとっていけていきます。これを「陰陽の和合」のうちにいけるといいます。
フラワーアレンジメントといけばなの違い
これは、一言でなかなか表現できませんね。でも、花屋さんが作ってくれる花束や花かごのアレンジメントを見ていると、こんなことを感じませんか?
1. 色とりどりの花がぎっしりと挿してある
2. 左右が対称的
3. 花が中心になっていて、茎は短く葉も省略されていることが多い。
4. 季節感には関係なく、取り合わせも可能
欧米の建築を眺めると、庭園も含めてもっとも理想的な美しさは、左右が対称であることのようです。また欧米では、すき間のあることを嫌う傾向があり、絵画を見ても空間を出来るだけ埋めようとしていることがうかがえます。
一方、日本では、不均衡の中にそれぞれの動きや流れ、奥深さを想像させようとしています。たった一本の線が空間を横切る美しさを、私たちは自然の中から身に付けてきました。
色彩について見てみると、欧米のものは鮮やかで明快です。反対に、日本古来の色は、同じ赤でもあかね、すおう、もえぎなど、淡く柔らかな自然の色を生かしてきました。しかし、その一方で、和服は洋服では考えられない多様な色が組み合わされたりもしていますね。
フラワーアレンジメントといけばなの違いは、これらに共通した違いがあるのではないでしょうか。
しかし、最近ではフラワーアレンジメントにいけばなの線や長短をつけることが注目され、取り入れられていますので、区別がつきにくくなったようにも思われます。
いずれにせよ、フラワーアレンジメントもいけばなも、植物を愛する心は同じはず。お互い、よい点を生かし、取り入れ、よい関係を作れればいいですね。
参考文献:「はじめての池坊いけばな入門(講談社)」
池坊の本ではありますが、いけばなの基本がわかりやすく書かれているので、お薦め。