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第四回 日本の自然・社会・生活と仏教の関わり」

1.はじめに

2.議事録

3.参加者の感想

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1.はじめに

20021126日、東京・四谷法恩寺にて、和散歩・趣き深き会 第4回「日本の自然・社会・生活と仏教の関わり」を開催しました(参加者19名)。当日は、吉田穣覚さんをお迎えし、レクチャーが行なわれました。これは、その議事録と参加者の感想です。

私たちが、日頃何気なく行なっていることは、仏教や神道の影響が大きいものがある。そして、日本の伝統芸能にも、「宗教」や「信仰」は深くかかわっている。しかし、日本において、宗教の話はタブー視されている感があります。歴史的、社会的背景がそうさせているとはいえ、和散歩としては、避けて通れないテーマと考えていました。

そして、迎えた当日。。。反応はというと。。。とにかく、参加者の皆さんの感想を読んで下さい!一言でいえば、もやもやとわからなかった状態からのBreakthrough?そんな数々の発見を、参加者が楽しんでいた姿が印象的でした。

和散歩は、同様の会を再度開催し、もっと多くの人に、今回のテーマについて考えてもらいたいなと思っています(ご興味のある方は、是非、嘉誉@和散歩までご連絡ください)。誤解のないように書き加えますが、これは特定の仏教に関する会ではありません。あくまでも、日本仏教や、信仰、哲学に関する、全般的なお話です(笑)。

さて、ここでの発言は、あくまでも吉田さん、及び、参加者の主観です。したがって、事実に即していないもの、また、皆様とのご意見が違うことがあるかもしれません。何分、一意見として、ご覧いただけますよう、お願い申し上げます。

最後に、会にご協力いただきました吉田さん、参加者の皆様に厚くお礼申し上げます。特に、和散歩からの難しい注文を見事にこなし、熱意を持って参加者に接してくださった吉田さんには、感謝の念が絶えません。本当に、ありがとうございました。

和散歩・主宰

嘉誉

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2.議事録

書記:嘉誉(和散歩)

2.1.世界の宗教

三大宗教:              仏教、キリスト教、イスラム教

民族宗教:              神道、ユダヤ教、ヒンドゥー教他

(ちなみに、仏教は、ヒンドゥー教の影響を多く受けている)

2.2.一神教と多神教

大まかな分類:    一神教・・・キリスト教、ユダヤ教、イスラム教他

多神教・・・仏教、神道、ヒンドゥー教他

2.2.1.その誕生と背景

一神教が育ったのは、気候・風土的に厳しい国が多い。そのような国では、絶対的なリーダーがいないと、統率が取れなかった。

多神教は、自然豊かな土地が多い。感謝の心は、ゆとりから生まれる。であるので、万物に対して寛容。

他の宗教と比べ、仏教の違うところは、神というべき者がないこと。強いていうなら、仏陀の教えがそう。

2.2.2.人々の関わり方とそれがもたらした影響

一神教の国では、道徳を教えてくれるのが、教会やモスクなどの聖堂であった。だから、宗教を持っている=道徳心を持っているという風に、見られることが多い。逆にいえば、宗教を持っていないということは、無道徳という風に見られる。「私は、無宗教だ」といったときに、海外で(特に、一神教の人から)、警戒されたり、敬遠されたりするのは、このような背景があると思われる。彼らにとっては、何も信じていない人より、何でもいいから信じている人のほうが信じられる。

一神教の宗教、特に、昔のイスラム教などは、ビジネス上、生活上で、とても重要な役割を果した。ビジネスの場合でいうと、同じ宗教でないと商売が出来なかったりした。生活においても、違う宗教の人は同じコミュニティーには属せなかった。

日本人は、信仰に寛容であった。日本には、お手洗いにも、台所にも、いろんなところに神様がいた。また、日本では、いいことをしてくださるものには、何でも感謝をしようという気持ちがあった(感謝は心のゆとりがあるからできる。日本は、国土的にも自然豊かだったので、感謝の心が育ったのだろう)。たとえば、お稲荷様が祭っているのは、キツネ。このキツネは、農作物の天敵、ねずみやウサギをとって食べてくれた。だから、農耕民族の日本人は、神様として、キツネを祭った(注:実際、稲荷に祭られているのは、うかのみたまという稲魂神だそうです。キツネは神様の使者のような役割で据えられているんですね。いずれにせよ、一般的には、人を騙す「悪」のイメージが強い狐を、神道では、神に近い場所に置いている。面白いなぁ)

しかし、明治維新以降、「最先端である西欧諸国には、国の宗教がある」ということを学んだ日本は、神仏を無理やり分けてしまった。こうして、日本は神道を国家信仰に、その頂点に天皇を据えた。これにより、日本人の宗教への接し方が様変わりしてしまった。

2.3.無宗教と宗教心がないということ

2.3.1.日本人は本当に無宗教か?

日本人は、初詣もいく。葬式もする。クリスマスを祝ったりもする。もちろん、これらは、いろんな宗教の行事であるが、こういう行事を祝ったり、行事に参加するということは、宗教心(あるいは、信仰心)の表れだと思う。

「バチがあたる」ということばを、日本人は使う。この「バチ」の概念が強まったのが、一神教。こういう感覚というのも、宗教心(信仰心)の表れではないだろうか。

2.3.2.聖典の持つ意味合い

一神教に属する、キリスト教の、旧約聖書、新約聖書の「約」は「古い訳、新しい訳」ではなく、「契約書」の約。キリスト教に属するということは、神と契約をするということ。

それに対して、多神教に属する仏教の聖典は、いわば哲学書である。仏教の聖典に書かれたものは、こうしなければいけないという強制の項目ではなく、こういう人がいたということを語ったもの。例えば、仏教には、解脱というものがある。これは、全ての欲を無にすることをいい、解脱すると初めて世の中が見えてくるといわれる(これを、釈迦の境地といったりもする)。仏教の聖典には、解脱をした釈迦の姿が書き記されてあるが、こうしなさいとは言っていない。

2.4.日本の仏教

2.4.1.いろいろなものを取り込んだ日本の仏教

日本は多くの文化を、長安から学んでいた。長安はその当時、世界有数の国際都市。宗教も、仏教のみならず、キリスト教もあった(しかも、教会まであった)。日本人は、そんな長安から、いろいろな文化(及び宗教)を自分達の都合のいいように取り入れた。だから、世界仏教と日本の仏教はかなり違う。

日本の仏教は、儒教・道教・神道・密教・キリスト教など、色々なものが融合してできている。

おまもり、おふだは道教からきている。お払い、雨乞い、病気平癒、、、カルト的なものは密教(雑教)からきている。

ヒンドゥー教徒だった釈迦の教えを元にした、世界仏教には、先祖供養という概念はない。だから、墓参りはない。昔は、人が死んだら焼いて灰を川に流していた。しかし、日本の仏教では、墓参りをする。この、先祖供養や親戚を大事にするという概念は、儒教から来ている。

日本の仏教を確立したのは、聖徳太子。昔の日本人には、道徳というものがなかった。聖徳太子は、国民に道徳心を植え付けないと国を統一できないと考えた。よって彼は法華経、勝鬘経(女はいかに生きるべきかを説いた)、維摩経(男はいかに生きるべきかを説いた)を参考にして、日本の仏教を確立し、国民を教育しようとした。ちなみに、原始(日本)仏教と現代の日本仏教もかなりの点で違う。発展の過程で、宗教は権力者に迎合しなければいけないこともあったから(逆に、そうしなければ、弾圧された)。

慈母観音は聖母マリアにそっくり。バチカンにあるマリア像と、慈母観音はよく似ている。聖徳太子が厩で生まれたといわれているのも、キリスト教の影響を受けたと思われる。

2.4.2.生活の中に見られる仏教(信仰)

お香はもともと何のためにあるのか?
釈迦が学んだ、ヒンドゥー教(インド)では、死体を焼く。お香は、もともと死体を焼いた匂いを消すためにあった。また、お香は、とても高価なものだった。仏などの貴いものには、高価なお香はふさわしいとされた。

墓と墓石の由来は?
もともと、死体は穢(けが)れたもの。死体は、住処に対して、果てにおいたから「はか」。昔、人は、死んでしまうと祟(たた)りになって出てくるといわれた。だから、石を置いて、それが出てこないようにした。生前の権力が大きいほど、死んだ後の祟りも大きいといわれていた。だから、有名な人のお墓というのは大きい(単に、富の象徴ではない)。

銅鑼(どら)の意味はとても残酷。
昔、ヒンドゥー教では、夫が死ぬと、妻も生きながらにして焼かれた。もちろん、生きているまま火にくべられるのだから、ものすごい悲鳴がする。この悲鳴を消すために、銅鑼は発展したのだ。

落語の高座
仏教のお説法を説くところも高座という。落語の高座はここからきている。

清めるということ「ハレとケ」
米は当時、高価なもの。その米から作る、酒は、さらに高級品。だから、清らかなもの・「清酒」となった。この清められた清酒を、神仏にお供えした。

日本で、水は、清いもの。だから、お墓にお水をかけたり、神社に行く前に手を水で清めたりする。しかし、モンゴルなどでは、水には悪魔が住むといわれている。たぶん、遊牧民の彼らが、接した水はよどんだものが多かったのだろう。

2.4.3.昔、お寺はワンダーランドだった!

寺には五感に訴えるものがある。

目で=真っ暗な中に揺らめく蝋燭や護摩の火、金の仏像などは当時の庶民には見れないもの。

耳で=鐘の音や念仏など、普段聞けない音が聞けた。

鼻で=お香の香り(お香は、当時からとっても高価!

口で=お寺の行事があると、特別な料理やお菓子が出る(饅頭など)。貧しい国で出家する人が多いのは、食べるためというのも大きな理由と思われる(寺に入りさえすれば、とり合えず、食べさせてもらえるから)。

手足で=火の暖かさ(護摩の火など)、お坊さんの衣に触れる等。当時、庶民は綿や麻などの、がさがさした衣類しか着られなかった。僧侶が着る羽二重などの絹に触れるというのは、本当に天にも登る気持ちだったのだろう。

お坊さんは、情報の宝庫
昔の人は、お坊さんに対して寛容だった。その一つの理由として、僧侶は、それぞれの土地の情報を一番よく知っている人物だったということがある。僧侶は人々にとっての新聞の役割を果した。武士達も、彼らからその土地(敵地等)の情報などをもらったりした。

2.4.4.お寺(神社)の楽しみ方

霊場・聖地はとってつけたようにその場所になったわけではないと思う。何か理由があるはずだ。霊場・聖地と言われる場所に行ったら、その空気を楽しんで欲しい。

「自分が困ったりした時に、どうすればいいですか?」と聞かれたら、私は、「仏とか、神とかよりも、先祖に手をあわせなさい」という。今の自分があるのは、先祖のおかげ。他人は無理でも、親や親戚は困った時にお金を貸してくれるでしょ?

日本のよさ、寺のよさというのは、教えられるものではなくて、実際、自分で歩いて、自分で発見するものだと思う。そのガイドとしては、司馬遼太郎の「街道をゆく」がお薦め。

私は、1日一箇所でボーっとするのが好き。それも、観光客のほとんどいないお寺などで。。。Sound of silenceのなかに身をゆだねると、人生観が変わります。

2.5.吉田さんにとっての仏教(宗教)

2.5.1.仏教音楽(宗教音楽)

声明・グリゴリオ聖歌・コーラン。この3つのものは、違いはあるけど、不思議なほど似たもの同士

日本は木の文化:声明:低い声が多い:木の中で反響し合い、共鳴する。

欧米は石の文化:グレゴリオ聖歌:高めの声が多い:石の中ではねかえる

イスラムは砂漠の文化:コーラン:砂漠の声:響くものがない。間が長い。これは、神の声が天からくるのを待っているB

2.5.2.宗教音楽を含めた、音楽は私のライフワークです

外国に音楽留学する日本人。彼らが、日本の音楽を知らないと、海外では低く見られるそうだ。

ピアノなどの音楽を弾くとき

西洋:上を向いて弾く
日本:下を向いて弾く

西洋音楽は、神に捧げるものだから上を向いているのでは?

2.5.3.癒し

仏教は、私を癒してくれるもの。

参考資料(吉田さんの推薦図書は*)

空海の風景(司馬遼太郎著)*                           中公文庫刊他

世界の宗教がわかる本(ひろ ちさや監修)*    主婦と生活者刊

街道をゆくシリーズ(司馬遼太郎著)*                朝日文芸文庫刊

この国のかたち1-6(司馬遼太郎著)                   文集文庫刊他

口語訳古事記完全版(三浦佑之 訳・注釈)        文藝春秋刊

世界の宗教「わかる・よむシリーズ」                     自由国民社刊

仏教キリスト教イスラム教神道どこが違うか         大法輪閣刊

宗教カタログ(青山央編著)                                 白馬出版刊〔絶版〕

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3.参加者の感想

今日のテーマは、日本人なら誰でも感じたり、疑問に思ったことがあるものだと思います。私も、漠然と考えたり、留学先のアメリカでArtの授業で作った作品を、日本的とか、禁欲的な感じで禅に通じるようだとかいわれたとき、特によく考えました。吉田先生のお話しは、とても明快で、面白く、また是非、個々のテーマについても伺ってみたいです。(出版社勤務制作担当・女性)

目からウロコ!日本人は、無神教、節操がないといわれて、自分もそうなのかなぁと卑下してましたが、少し好きになりかけています。今回の会で、更に知りたい(仏教・日本人について)と思いました。ありがとうございました!(出版社広告営業・女性)

自分自身の信仰心の表現方法の手がかりが出来ました。(化学品メーカー勤務・男性)

日本の仏教って、節操なくいろいろなもの(宗教行事・習慣)が混ざっていて変だなと思っていたのですが、それでいいんだ、いいかげんなわけじゃなく、フトコロが深いと思えばいいのね、と考えられるようになりました。(会社員・女性)

とても、面白かったですね。人にとって宗教とは何かと言うことを時々考えることですが、いくつか重要なアイディアを得ることができました。また、声明を直に聞いてみたいなと思いました。(メーカー勤務・男性)

たくさんありすぎて書ききれないのですが、特に、日本人の信仰心という点については考えさせられました。すごく、新鮮に楽しく、深い話を聞くことが出来ました。各方面で使えそうな話を集められました。日本人であるということを改めて誇りに思えてきました。(商社経理・男性)

非常に面白かった。知らない「知」を得、深さかつ全体の宗教観が得られ、充実した時間が過ごせた。本当は、双方向のコミュニケーションがベターだが、次もなんとかして参加します。(起業準備中・男性)

世界の宗教などについて、わかりやすく説明していただき、興味深かったです。仏教のお話しで、鳴り物の歴史は、怖くて残酷。。。(古代日本文化研究家・女性)

きっと、ワタクシは仏教徒なんだと思ったこと(思えたこと)。そう思ったことが、とてもシックリ来た。とても、ウレシイ。スキップしたい気分。(建設会社勤務・女性)

おもしろかったデス。私も、宗教を独学していたので。教会でワンダーランドのようなのが最近流行っていますが、お寺の世界でもそういうお寺が増えると楽しいですね。(コピーライター・和菓子屋役員・男性)

とても、おもしろかったです。自分は無宗教だと実は思っていたのですが、“感謝”の話を伺って、自分の中に意外と信仰というものがひそんでいたことに感動しました。うまく言えなくてごめんなさい。(医療画像関連機器企業勤務・アマチュアオペラ歌手・女性)

とても、よい機会だと思います。企画された方のご努力に感謝しています。講師の方の人柄がよく伝わってきて、好感が持てました。話もわかりやすく、手がかりをつかめることが出来ました。(国際交流協会職員・男性)

仏教が、哲学であるというのを先生から聞いたことは新鮮だった。(育児支援サービス会社財務・男性)

宗教が道徳に連結しているなら、「バチがあたる(人以外のパワーですよね!!)」という強烈な思想を持っている日本人は、全く信心深いとしか言えないなぁ、、、と思いました。(グラフィックデザイナー・男性)

「仏教」や「宗教」に対する、敷居が低くなった。もうすこし、ゆっくりと宗教に対して自分がどう関わっていきたいのかを、考えてみたいと思いました。(マーケティングサポート・女性)

環境や、暮らしの背景と信仰との関わりあいについて、「あー、なるほど」と感じ入ることの多い時間でした。「宗教=神仏との契約」と思い込んでいましたが、「教え」のカタチが異なることを知りました。(外資系損害保険会社広報・女性)


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