第14回 「里山(後半):日本の優れた循環システム“里山”を知る」
1.はじめに
2.議事録
3.参加者の感想
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1.はじめに
2003年8月10日、山梨・八ヶ岳・六兼屋(渡辺pacoさん宅)で、和散歩・趣き深き会 第14回「里山(後半):日本の優れた循環システム“里山”を知る」を開催しました(参加者14名)。これは、その議事録と参加者の感想です。
いやぁー、この後半は、いろいろなドラマがありました。まずは、会前日のすさまじい足止め劇。参加14名中8名が、8月9日から八ヶ岳に入り、のーんびり自然を散策しようと思っていたのですが、自然はそう甘くなかった。
何が甘くなかったかって、「台風」です。朝の6時から、スタッフ&参加者はその対応でおおわらわ。一行さんは皆に電話を、マシューは新宿駅へ!特に、マシューは朝の7時から13時頃まで新宿駅で情報収集&チケット変更等の手続きに走ってくれました。本当に、スタッフの暖かさと参加者の理解を感じる瞬間でした。
しかし、台風の後の会当日は、ピーカンのお天気!久しぶりに夏らしい入道雲も出て、なんとも楽しい里山でのワークショップでした。
のーんびりとした里山散策、チェーンソー&草刈り機を使っての庭仕事、そして、皆でのディスカッション。。。ティーコーディネーター・ちあきちゃんの美味しい2種のアイスティーで喉を潤し、夏の午後を満喫しました。
最後に、渡辺pacoさん、奥様のbibi子さん、愛娘ウポルちゃん、素敵なお庭&おうちを開放していただき、ありがとうございました。そして、参加者の皆さん。いろいろとご協力ありがとうございました。また、そのうち、第2弾、やりたいですね。
和散歩・主宰
嘉誉
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2.議事録
書記:クヌギヒサコ@和散歩
2.1. 小淵沢駅から六兼屋まで
2.2.お庭見学
2.3.里山見学
2.4.昼食
2.5.林(庭の奥の)
2.6.アイスティー、おやつ、おしゃべり、クラフト?
2.7.帰り道
2.8.補足:ディスカッション
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2.1. 小淵沢駅から六兼屋まで
台風一過。私たちが六兼屋を訪れた8月10日は快晴。集合場所の小淵沢駅はまさに夏休み!という人々と日差しであふれていて、やれやれと思いつつも、みんな楽しげにレンタカーに乗り込みます。
まずは、昼ご飯のサンドイッチを引き取りに「くのパン」へ。まさに夏休み!というわりに道は空いていて(こんなもんなんでしょうか?)、密かに探していたソフトクリームにはめぐり会えないまま、くのパンに到着しました。
みんなひさびさの早起きだったせいか、おいしそうなパンを目の前に、ただ受け取るだけですむはずはありません。いきなり、おやつタイム。前日の苦労話やら、今日一日にどれだけわくわくしているか、話題に事欠きませんでした。
・・・というところで大きな落とし穴が。
パンと飲み物とおしゃべりあと、うっかりサンドイッチの受け取りを忘れそうになりました(本当です)。危ない、危ない。
そして、最後の難関、六兼屋近くの「ナビに出てこない道」。迷いやすいとは聞いていましたが、こんなに複雑とは(笑)。しかし、私たちはましゅの「バイオ・ナビ」のおかげであっさり到着できました。すこし、つまらなかったかもしれません。
2.2.お庭見学
到着後、おのおの身支度をして、早速、六兼屋のお庭を拝見しました。前日の台風で庭全体が大きな水たまりのようになっていたのは、たいへん残念でしたが、それさえも、私には新鮮な印象を与えてくれました。あの程度の広さの地面さえ、日々の暮らしには「ない」ものですから。一歩踏み込むと、靴の底に地面からじわっと水が染み出るのが伝わってきます。
庭の通路や東屋はpacoさんがすべて一から作ったという話を聞いて、一同感心しました。と同時に、庭のどのポジションでサンドイッチを食べたいか、しっかりチェックしていたり(笑)。
お庭には、クヌギの木の苗床や、フロックスなどの花木のほか、ハーブやブラックベリーなどの「食べられるもの」もありました。ブラックベリーは名前の通り、きれいな赤い実より黒ずんだようなのが食べごろでおいしいと教わって、すこし味見をしました。やっぱり実のなる植物は楽しいですね。
とまあ、楽しいところばかりに気を取られがちなのですが、このお庭を維持していくには、並大抵の作業では足りません。台風ばかりでなく、雑草は憎たらしいくらい生えてきます。想像するに、草取りは私にはたまに「非日常」として楽しむのが限界です(お庭は私には不向きのようです)。ブラックベリーはうらやましいけど。
2.3.里山見学
この日は天気が良い分、日差しの強さは半端ではなく、庭を一回りするだけでかなりの汗をかきました。でも、日陰に入ればそこそこ涼しいし、風は乾いているので、気持ちが良いです。東京だと、どこに行っても暑いし、吹いてくる風も「どこかから出てきた風」なので、ちっともさわやかではありません。
さて、お庭に続いて、今度は里山見学。川と田んぼ(用水路)などを見に行きました。
用水路は丘の上の溜め池から、田んぼに水を送るために敷設されています。勾配を計算して、途中2本、3本と分かれながら、その地区の水田にまんべんなく水が送られるように作られていて、日本の農業土木技術の高さがうかがえます。大雨の後で水は勢いよく流れ、しがみついているタニシはちょっとしんどそうでした。
道に添って広がる田んぼの稲穂はまだ青いけれど、しっかりお米が詰まっているのが見えました。その田んぼを渡る風と、川沿いの風の香りが違う、これは大発見でした。田んぼを吹き抜けてくる風は米の、穀物らしいほっこりした香り、川沿いの風は夏草の青々とした香りがします。川沿いの風はまだ夏ですが、田んぼの風にはちゃんと秋がひそんでいるのですね。東京ではなかなか嗅覚で季節を感じることはできないので、新鮮な体験でした。
実は今回「川で遊ぶ」計画もあったのですが、増水していたので今回は見合わせました。残念。
稲穂が育っている水田と休耕田を眺めつつ、溜め池に向かいます。その途中、栗の木の林に竹がどんどん進入しているところを見ました。竹という植物の強さを目の当りにし、この先栗の木はどうなってしまうのかと思うと、いたたまれないような気持ちになりました。しかし、今回の参加者のひとり、原Kayさんから「(竹は)あまり増えすぎると、突然全滅することもある」と教わりました。そうなればいいというのではなく、そんな不思議もあるのかと驚きました。
竹林を抜けて、溜め池に到着。前日までの雨で水量がかなり増えているとのこと。先に見た用水路の水の勢いはこのせいだと、すぐに納得できるほど、たっぷりと満ちていました。底から少しずつ下りながらまんべんなく水田を潤しているさまは、丘の上まで登って来た甲斐があったなあと実感するにじゅうぶんな光景でした。
その水面をシラサギの親子がすべるように進みます。それを見ると、東京のビル街をよちよち歩くカルガモの親子より、ヘンな言い方ですが「正しい」感じがしました。その正しさは私に一種の安心感をもたらしました。とても心地よい眺め。
ところで、六兼屋を訪ねた1週間後、私はレスター・ブラウンさんの講演会に行きました。そこで聞いたのですが、アメリカや中国では農業に地下水を使い、そして、その膨大な地下水の使用が水資源の不足を招くであろうとのことでした。
私は(ただの勉強不足ですが)農業は雨水だけで営めるものだと思っていましたから、たいへん驚きました。雨の多い気候の日本は恵まれているのでしょうか。
2.4.昼食
くのパンのランチボックスはとにかく盛りだくさんで、まずはそれに驚かされました。どのくらい盛りだくさんかというと、私がふだん昼食に食べる量の3倍くらいです。今回はよく歩いたことと、みんなで食べることで、いつもよりもりもりと食べたと思います。帰りの電車で食べる分をしっかり取り置くことができましたが。
2.5.林(庭の奥の)
いよいよ庭に隣接する林の中へ。手入れを怠った林がどうなっているかを体験します。
適切に間引かなかったり枝打ちしなかったりしたため、成長不良気味の木がずいぶんありました。遠目に見るとたくさん木が茂っていて、緑が多くていいなあなんて思ってしまうのですが、実際に林の中へ入って、pacoさんの説明を聞くと、けしてよい状態ではないのです。
しかし、実際これだけの本数の面倒を見ることも、想像すると気が遠くなりそうです。そして、「これだけの」と私が言う木が植わっている林の広さは、林としてはそれほど広くないと思います。
里山の重要な要素である雑木林を維持していく、里山を里山として機能するように保っていくことは、日ごろからの手入れを続けることにかかっていると思います。荒れてしまったものを元に戻すより、荒れないようにするほうが、おそらくまだ楽なのでは?
ところで、私たちが歩いた道(ほとんどけものみち)は、実は公道とのこと。たしかに、現存する?2つの通りをつないでいるような気もしなくもない・・・というくらい、道とは呼べない状態になっていました。
2.6.アイスティー、おやつ、おしゃべり、クラフト?
このあと、私の妹(ティーコーディネーター)が入れたアイスティーなどを飲みつつ、おやつを食べつつ、ディスカッション、いやいや、おしゃべりタイムとなったのですが、この輪には私は加わってませんでした。
というのも、ティーコーディネーターの助手をしていただけでなく、突発的番外編のフェルト作り体験をやってしまったからです。
まさに「何しに来とるんじゃー」ですが、クラフト好きとしてはお誘いに我慢ならず、あえなく脱線。
ありがとうございました。また来たいです。
2.7.帰り道
あっという間に時は過ぎ、「電車、間に合わないかも!」という時間になっていました。大慌てで撤収して、お礼のご挨拶もそこそこに、レンタカーにどやどや乗り込み、駅に向かいます。あとは時計とにらめっこ。
けっきょく予定の電車は惜しいところで逃し、次の電車で帰りました。車中では席はバラバラだったものの、残りのくのパンを食べたり、感想や新企画で盛り上がったり、大満足で熟睡したりと、おのおの充実のひとときでした。
みんなが共通して思ったことは、また来たい!ということ。今度六兼屋へ来たら、pacoさんのお手伝いをしたいです。いつもビルの中でやってることとは違う「仕事」をして楽しみたいです。それで里山が守られたり、状態がよくなったりしたら、こんなにうれしいことはないでしょう。
2.8.補足「ディスカッション」by 嘉誉
雑木林や里山を実際に見ての感想、そして、それと今後どう関わっていけるかなど、1時間ほどディスカッション。皆さんから、いろいろな意見が出ました。
ディスカッションの後、MLでpacoさんはこのようなコメントをくださいました。
「今日いろいろ話をしてみて、ひとつ思ったのは、都会暮らしになれると、「自動化」「機械化」の信仰が厚くなるなあということと、機械化することで失っていくものがあり、それは人間の時間や人間の生き方そのものが阻害されていくことなんだなとも思いました。単調な作業の繰り返しをしている時間の中に、人間が英知を見出していく時間があるのですが、そのことを見失っているような気がします。
先日清掃工場の見学に行ったんですが、そこでは自動化が進んでいて、運転員はTVモニターを監視することが仕事になっています。モニターでトラブルが見えるとすぐに出動するわけですが、トラブルはない方がいいので、ただ見ているだけの時間が8時間続くことが「今日はよい仕事をした」という日なのですね。
ゴミ焼きと炭焼きは違いますが、ゴミ焼きの代わりに炭焼きの仕事を比べるなら、炭焼きは、まる3日間ぐらいつきっきりで日の面倒を見ます。具体的に、風を入れたり綴じたり、煙のようすや温度を見ながら、入れた木のミスの含み具合を見ながら、蒸し焼きにするわけです。
現代人は、そういう作業が「つらい」ので、炭焼きを機械化しようとして、人間は機械がミスしないように見ているだけにしたわけですが、手を動かし、火の加減を見て炭を仕上げる時間と、機会が間違えないかを画面で見続ける時間と、どっちが人間らしい、知能が働いている時間かと言えば、たぶん、火の加減をいつも見て、穴を広げたりふさいだり空気を送ったりする方だと思うのですね。自動化することで、知性を動かす時間を失って、退屈な時間ばかりが増えてしまった。
雑木林の手入れは機械化することができないから、めんどうになって捨て置かれるようになったわけですが、それによって失ったもののことを知る必要がある。
それは意外に大事なものだったことに、実際に林に手を入れてみると、気がつくような気がします。」
日本文化は、「めんどう」「時間がかかる」「わかりにくい」などから捨て去られるものがとっても多い。でも、実際に見てみるといろんな知恵がそこに秘められている。
でも。。。
「日本文化って素晴らしいものなんだよね。残すべきなんだろうね。けどなぁー」
結構、こう思っている人、多いと思います。
この「けどなぁー」を無くすためにも、なぜ捨て去られてしまったのかと、どうすれば捨て去らずに活かすことができるのかってこと、考えたいですね。
雑木林の手入れを例に取ると、雑木林を手入れすることは「人が生き延びるために必要」だった。人間にベネフィットがあったわけですよね。でも、今は、人が生き延びるために直接は必要なくなった(または、そう見えます)。
でも、雑木林のベネフィットは何も、人が生き延びるためでなくてもいいかもしれない(注:雑木林をいかすことは周りまわって人が生き延びるためのものであるかもしれないけど)。自分に喜びとなってかえってくるとすれば、人は「めんどう」とは思わない。
例えば、虫や生き物が好きな人は自分の手入れした場所に生き物が増えてきたら喜びを感じるでしょう。
例えば、山菜やお花が好きな人は、自分の手入れした場所に山菜やお花が増えてきたら喜びを感じるでしょう。
例えば、体を動かすことが好きで、ちょっとなんかいいことしたいなぁーって思っている人は、山仕事によって適度な運動ができて、美味しい空気を吸ったらとっても嬉しいでしょう。
目的が、直接「生活の為」とか「環境問題解決の為」じゃなくても、「自分が楽しいなと感じるから」でもいいと私は思う。そして、それが皆にとってもいいことにつながっていたらなおうれしいと。
環境問題の全体像を分かっている人が「見かけは娯楽だけど、実は環境にいい」といった仕組み作れるといいなと思いました。
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3.参加者の感想
実際に里山に触れられてとても楽しかった。聞くだけとは、全く違うと思った。是非また、このような会があったら参加したい。今度は、少し役に立つような仕事したい(メーカー・商品開発担当・女性)
前回のパコさんのレクチャーと実際里山を歩くというニつがつながって面白かった。頭で分かっているより、実際に目で見て触って行動するというのが、非常に理解するのに役立ちました。また、人は自然と関わって生きていくべきだなぁと思いました。(投資信託ファンド計理・女性)
話を聞くことと、本で読むことと、実際に見るのでは大違い。それも山に入ってみてわかりました。一見自然がいっぱいの山も入ってみると荒れていることが分かりました。里山は、人と自然の力で作られた素晴らしいシステムです。この知恵を何かに生かす方法を探してみたい(人材開発を通した企業変革者のつもり・男性)
手のかかっている田んぼが、使われていないことは本当にもったいないと感じました。裏山はまだ歩ける程度の荒れ方でしたが、離れた竹山は無残でした(玩具会社・経数管理・男性)
子供の頃は、当たり前と思っていた風景を見直しました。都会の人の好奇心を継続的につないでいく仕組みをどうにか作れるといいですね(会社員・女性)
五感で感じる自然って、都会で知る自然と違うと思った。色が違う、匂いがある、音がする、、、こういうものを子供などに伝えられれば、そしてその親も、、、ちょっとしたことで、少しずつなら変えられる要素はあると思った。人が少し関わると、きれいで有益な自然が作れるが、逆に放置すると自然の力はすごいと感じた(航空会社ITコーディネーター・男性)