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その7(三線):カンカラ三線うむしるむん

沖縄返還30年ということからか、今年の春から夏にかけて、沖縄の歌をよく耳にした。その音楽を聞いていて印象に残るのは、「アッ、アッ、アッ、アッ、アイヤイヤササッ。。。」等の合いの手と、三線(琉球三味線)の音。あー、あの音楽にのって、踊れたらなんて幸せなんだろう。。。そんな募る思いが、私を、沖縄の石垣島へと向かわせた。
さぁーて、どこから、始めよう。んー。。。まずは、土地のもので腹ごしらえ???宿のおばちゃん、タクシーのおじちゃん、そしてガイドブックでもお薦めだった店へ向かうことに。

沖縄独特のレンガ屋根の民家が続く道。ピーカンのお日様に照らされた景色に、乾いた砂埃が舞う。暑い。。。おなかすいたぁ。。。くらくらしながら、見つめるその先に、乾いたコンクリート作りのビル。ガラス戸の上には丸八そば(09808-2-2337)と書いてある。

「イエェーイ、ソーキそばじゃぁー!」

喜び勇んで、お店に入る。「ソーキそば!」「あたし、八重山そば!」と、一通り注文をしてから、待っている間に、店の中をくまなくチェック。壁に目をやると、島の歌と踊りが見れるという劇場の張り紙があった。じーっと見つめる。。。

「なに、そういうの好きなの」

「はいっ、もう、歌と踊り、大好きっ!」

間髪いれずに返す、私の素直な反応に(?!)、丸八そばの美奈子さんはにっこり。

「あの写真の女の人、私」

といって指差したのは、トゥバラーマ大会(民謡コンクール)のポスター。島ではかなり権威のある大会だ。美奈子さんはなんと歴代チャンピョンの一人らしい。

「すごぉーい!いまでも、歌うの?」
「この店閉めて、夕方から、小さい子に三線(琉球三味線のこと)教えてるさ。」

石垣の街を歩いていると、○○研究所などと木に墨で書かれた教室の看板をよく目にする。昔から、子供はこういった教室でお師匠さんについて習うのだそうだ。

「今は、学校のクラブでも三線や民謡が習えるようになったからね。いい時代だよ」
「へぇー、いいなぁー、三線。美奈子さんのレッスン見たいなぁー」
「私はいいけど、子供が緊張するからね。そうだ、じゃぁ、アンガマ見にくりゃいいさ。部落ごとにやっているんだけど、私の周りでもどっかでやってるはずだから、連れてってあげる」

アンガマとは祖先の霊を供養し、子孫繁栄を祈願する八重山地方の旧盆の伝統行事。あの世から来たという設定のウシュマイ(爺)とンミー(婆)が、招かれた家々を訪ね、珍問答をしたり、三新等の楽器に合わせて、歌や踊りを繰り広げるというもの。

あー、でも、今年の旧盆は8月21日から23日。。。私は、19日に帰ってしまうのよ。。。

「なんだぁ、いるんだったら連れてってあげたのにねぇ」
「。。。残念です。。。」
「まっ、来年時期を合わせてくりゃいいさ。」

だめよ、だめ。このまま、にんじんぶら下げられて、おめおめと帰ることは出来ないわっ。私は、あの音楽を生で感じたいのよぉ!と、本屋でネタを探す。で、ガイドブックを立ち読みしていたら、あったぁ。初心者にも三線のレッスンをしてくれるというところが!

石垣の中心街にある、公設市場の斜め前。レッスンをしてくれるというお店、「そば真仁屋(09808-2-3081)」がある。アーケードの沿いにある店の入り口は、ちょっと奥まっていて、店内があまり見えない。窓の隙間から、妹の浩子と二人で店内を覗いてみる。

「お客、誰もいないよ」
「んー、でも、まっ、いっか」

がらがら。。。。カウンターと、畳の席があるこじんまりとしたそばや。壁には3本の三線が掛かっている。

「いらっしゃぁーい」と、のんびりムードのおばちゃん。
「あっ、あの、食べに来たわけじゃなくて。。。その、三線のレッスンが受けられるって聞いてきたんですけど」
「あっ、体験レッスンね。じゃぁ、ここすわってね。」
「お願いしまぁーす。」

初めて持つ、弦楽器。

「あっ、軽い!」と、三味線を習ったことのある浩子。
「そうね。三味線は重いし大抵座って弾くけどね、三線は軽いから立っても弾けるさ。もちろん、座っても弾くけどね。」

なーる。大きさも、三味線よりはずっとコンパクトだそうだ。音も、三味線に比べ、軽く、乾いた感じの音がする。爪がまた変わっていて、牛の角のようにごっつい物を人差し指に挿して弾く(ちなみに、初心者の私はギターのピックを使って弾いた)。

構え方を習い、早速おばちゃんに続いて音を出してみる。

「一番高い音が女弦(みづる)、ペン」「ぺンッ」
「真中が中弦(なかづる)、ベン」「ベンッ」
「低いのが男弦(うづる)、ボン」「ボンッ」

ひゃー、弦の名前の付け方、あってるぅ!女弦は高くて色艶のある芸者さんのような音だし、男弦は西郷さんのように「わいは男弦ですたい!(なぜか鹿児島弁?)」って感じのどっしりとした音。最近はまってる、ビギンの「カンカラ三線うむしるむん」という歌では、女弦をかーちゃん、男弦をとーちゃんに例えてる(うむしるむんとは、「面白いもの、楽しいもの」という意味。ちなみに、ビギンのオモトタケオ2は最高です!この夏の私のベストアルバム。機会があったら、是非、聴いて下さい)

「じゃぁ、咲いた、咲いた、チューリップの花が、を一曲教えるからね。」
「さ、い、いぃ?、いが出ない。い、た。。。さ、い、た。。。チュー、リッ、プ、の、は、な、が。。。」

難しい。。。必死になって、練習するが、頭と手がうまくかみ合わない。

「おばあちゃん、ちょっと、この子ら見ててね」
「はいはい」

さっきまで、横でちょこんと座っていたおばあちゃんが私たちを見てくれることに。

「じゃぁー、弾いてごらん」

「さ、い、た。。。さ、い、た。。。チュー、リッ、プ、の、は、な、が。。。ど、の、は、な、見、て、も。。。き、れ、い、だ、な。やったぁー、弾けたぁー。」
「じゃぁー、もしもし亀よ、弾いてごらん」
「えっ。習ってないから、音がわからない。。。もっ、し、もっ、し。か、。あっ、だめだ、音がずれる。。。か、あっ、でた。め、よぉー、かっ、め、さ、ん、よぉ。。。」

「そう、そう。あってる、あってる。一本弾きの音探し、っていって、最初は、そうやって、自分で音を探しながら弾き方を覚えたもんだよ。」

このおばあちゃん、実は目が不自由だそうだ。でも、まるで見えているかのように、私の指使いを一つ一つ指導してくれる。長く触れてきた、年月のなせる技だろう。

浩子は、途中で弾くのをやめて店内をきょろきょろ。

「ねぇー、おばぁーはCD出してるの?」
「あー、そうそう」
「すごぉーい。ねぇねぇ、おばぁーの歌聴きたいぃ!」

ぽつりぽつりと昔の話を交えながら、おばあちゃんは民謡を歌ってくれる。か細い声だが、心に染みるおばあちゃんの民謡。沖縄生まれではないけれど、何か、昔聞いたことのあるような懐かしさを感じるのはなぜだろう。。。

「そんなに歌が好きなら、明日、旧盆の準備で、歌とか踊りの稽古やってるから見にくりゃいいさ。」

あっ。。。またしても。。。明日は、波照間島に渡ってしまうのだ。。。

それにしても、石垣の人は、生活の様々なシーンで、三線の音や地元の歌に触れているのだろうな。そういえば、ビギンの歌「島人ぬ宝」にこんな歌詞があった。

「僕が生まれたこの島の唄を 僕はどれくらい知ってるんだろう
トゥバラーマもデンサー節も 言葉の意味さえわからない
でも誰より 誰よりも知っている 祝いの夜も 祭りの朝も
何処からか聞こえてくるこの唄を
いつの日かこの島を離れてくその日まで
大切な物をもっと深く知っていたい
それが島人ぬ宝」
by ビギン

無意識のうちに伝わっていた日本の文化や芸能。今の子供達は、どれくらい日本の宝に触れて過ごしているのだろう。。。

*私のお薦め三線サイト:新城工作所*
家具や三線を作っている会社のHP。三線の詳しい説明から、沖縄の音楽までわかりやすくカバーしていてGood

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